✿ 授乳中の薬について

「授乳中ですが薬を飲んで大丈夫ですか」という質問をよく受けます。

 母乳の利点としては、赤ちゃんの感染症の予防、喘息や食物アレルギーの低下、母児間関係の形成などがあげられます。

一方、母親が内服した薬の大多数は母乳に移行します。薬の説明書には「内服したら授乳を中止すること」と記載されているものがほとんどです。

 これをそのまま受け入れると、多くの場面で母乳保育を断念しないといけなくなります。しかし、実際母乳を介して乳児に影響のでる薬はそれ程多くありません。乳児も病気になると薬を使いますが、乳児の体格に合った常用量が細かく決められています。母乳を介して摂取してしまう薬の量が児の常用量よりかなり少なければ母乳をやめる必要はないと言えます。そして多くの薬では授乳を続けても支障ありません。

 「妊娠とお薬情報センター」のHPには授乳中に飲まない方が良い薬として抗不整脈剤の「アミオダロン」、麻薬性麻酔薬「コカイン」、甲状腺検査薬の「ヨードカプセル-123」、甲状腺治療薬「ヨウ化ナトリウムカプセル」のわずかに4剤だけが挙げてあります。

 妊娠中や授乳中の方で薬を使う必要がある方は一人で悩まず、まずは産婦人科の主治医にご相談されるようお勧めします。