✿ ホルモン補充療法(HRT)について

            

         

女性は閉経期周辺で女性ホルモン(エストロゲン)が急激に低下していきます。それに伴ってホットフラッシュ、発汗などの更年期症状や肩こり、頭重感、不眠、気分が塞ぐ等様々な症状に悩まされる方が多くなります。

そのような方に、ご本人の希望、適応、禁忌を判断してHRTをお勧めすることがあります。

HRTとは:エストロゲン欠乏に伴う諸症状や疾患の予防・治療を目的としてエストロゲン製剤を投与する治療法です。子宮のある方では、エストロゲンだけ補充すると子宮がんの発生が増えるためプロゲステロン(黄体ホルモン)を同時に投与する必要があります。子宮筋腫などの治療で子宮を摘出している方はエストロゲンだけの補充で十分です。

 

HRTに期待される作用・効果

          症状          有用性 

血管運動神経症状(ほてり等)

A

更年期の抑うつ症状

B

それ以外の更年期症状

C

アルツハイマー病の予防

C

尿失禁の治療

D

萎縮性膣炎・性交痛の治療

A

骨粗しょう症予防

A

骨粗しょう症治療

A

脂質異常症の治療

B

動脈硬化症の予防

C

皮膚萎縮(しわ)の予防

B

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 A:有用性が極めて高い 

 B:有用性が高い 

 C:有用性がある 

 D:有用性の根拠に乏しい

 E:有用ではない

 

  

 HRTに予想される有害事象

不正性器出血、片頭痛患者で頭痛の増悪、長期使用で乳がんの増加、血栓塞栓症の増加等が指摘されています。

 

 

 HRTができない方

  重度の活動性肝疾患、乳がん既往、現在の子宮内膜癌、低悪性度子宮内膜間質肉腫、原因不明の不正性器出血、妊娠、血栓性静脈炎や血栓塞栓症(既往も)、冠動脈疾患既往者、脳卒中既往者。

慎重な投与が必要な方

  子宮内膜癌既往、卵巣がん既往、肥満者、60才以上の新規投与、血栓症のリスクのある方、慢性肝疾患、胆嚢炎および胆石症の既往、重症の家族性高トリグリセリド血症、コントロール不良の糖尿病や高血圧、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症の既往、片頭痛、てんかん、急性ポルフィリン症。

HRTについて詳しく聞きたい方はぜひ相談してください。